Macohのウェットでややもたつかせた歌声が聴こえてきたら、NASやMos Defみたいにライフ・イズ・グッドと囁いてしまうかもしれない──
彼の曲「それぞれのあい」ならば、毛布のように優しく身を包んでくれるだろう。

 蒸留酒やチェリー・ワインなんかを味わいながら会話を楽しむ都市でのナイトライフ。そんな時にMacohのウェットでややもたつかせた歌声が聴こえてきたら、NASやMos Defみたいにライフ・イズ・グッドと囁いてしまうかもしれない。

もしくは不意に寝てしまい日の出前に目を覚ました時のような、世界の静寂さを感じる瞬間。iTunesで唯一手に入る彼の曲「それぞれのあい」ならば、毛布のように優しく身を包んでくれるだろう。

「歌うジャンルはこだわらないのがこだわり」

  シンガーソングライター・Macohはカテゴライズを好まない。正確に言うと「歌うジャンルはこだわらないのがこだわり」で、「アホみたいにハッピーなのがあったり恨み妬みをテーマにしたり。

 皆の『こんな感じだろ』をぶち壊すのがすごい楽しい」と語る目にはやはり、エンターテイナーとしての矜持が光る。「客の表情筋を全部動かせる気はする」と喜怒哀楽、もしくはそれ以外の感情すらも表現するイメージを持ちステージに臨む。

本人の言う「カメレオンのような」という例えがしっくりくる。 

  中学1年の時、姉にMr.Childrenのライブに誘われ、オープニングで会場が暗転した瞬間から音楽の虜になった。

 人前で初めて歌ったのは大学時代の20歳ごろ、地元の知り合いのパーティー。そこでMacohが恩人と語る先輩、Akitoshi-KamberLandに声をかけてもらい、一緒にイベントに出るように。

 「一歩を踏み出そうかちょうどもがいていた時期だったから『ここでしょ』って感じだった」。1年ほど2人で活動した後、「自分の色が出したくなり」パソコンと製作ソフトを購入。「先に買って、学ぶしか無い状況に追い込んだ」上で、試行錯誤を重ね自分のスタイルを作り上げていった。

 「それぞれ~」で見せた表情はほんの一面で、アコースティック、クラブミュージック、ボサノバなどといった多彩な曲調に合わせ声色も変えていく姿には、本人の言う「カメレオンのような」という例えがしっくりくる。 

自分が楽しくないといけないと思うから。

 「アーティストとして、推し出しとかも考えたら一定度イメージを固めた方がいいんだと思う。でも歌うなら、自分が楽しくないといけないと思うから。自分には厳しくしつつ、(とやかく言う)周りには『温かい目で見守ってて下さい』て」。

 模範解答が「客のため」な向きもある中、あえて定石を蹴飛ばし、これがインパクトを与える衝撃を生む。

「言葉にしていないだけで深く考えていないんじゃないんだよね。だから歌ってんのかも」

 それにしても、Macohと対面した印象は作品と恐ろしく真逆で、多彩な引き出しを持つテクニシャンが彼とは。。。と思わざるを得なかった。

 ぽやぽやとした雰囲気で、ケラケラと笑う姿は驚きだったが、その旨を本人に伝えると本質が垣間見えた。「言葉にしていないだけで深く考えていないんじゃないんだよね。だから歌ってんのかも」

 とらわれずこだわらずかたよらず、自由自在。声に詞に、彼の考えは詰まっている。 


Macoh

埼玉県出身。20曲以上のオリジナル曲を持ち、月1、2回のペースで六本木や渋谷のバーやライブハウスを中心に活動するほか、音楽イベント「MUSICst」にも参加。20歳のころから約10キロのランニングや筋トレが「ほぼ毎日の習慣」というストイックな面も。「フィジカルはパフォーマンスにも声にも、大きく影響している」。DaF2人の中学の1年後輩。特に好きなシンガーはキーシャ・コール。

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